呉東正彦弁護士とは?
呉東正彦 弁護士
(98/4/23・銀座)
呉東弁護士から伺ったお話を述べる前に、当勉強会の顧問である先生の紹介をしたいと思います。
当勉強会の顧問である呉東弁護士は、物心両面において我々をサポートしてくださっています。事務所は横須賀にあって遠いのですが、頻繁に東京までご足労い
ただいていて、そのご苦労とエネルギーには全く感謝と驚嘆の言葉しかありません。それでいて性格はいたって温和で、学生と一緒に酒を飲んだりと大変気さく
な方です。
ご専門はクレジット・サラ金訴訟や自己破産ですが、当勉強会の世話などボランティアの活動にも熱心でおられます。横須賀の米軍基地に原子力空母が配備さ
れるのに反対する市民の動きに賛同されて、自分の事務所を事務局として提供なさったり、はたまた「しおさいの会」というクレサラの被害者の相互連絡組織を
つくり、悪質クレサラの被害拡大防止に努力されてます。このように先生は社会派の正義の弁護士であり、こんなことを言うのはおこがましいかもかもしれませ
んが、我々の誇りであります。
また趣味も瞠目に値します。先生はかなりの鉄道・旅行マニアで、日本全国行ったことのない鉄道路線はないそうです。我々が出身地はどこだと話すと、「あ
あ、何線のあたりだよね。行ったことあるよ。」という言葉が返ってきます。鉄道を完全制覇した先生は、つぎはバス路線を駆使して全市区町村を制覇したいそ
うです。無論行動範囲は国内に止まりません。世界もあちこち行かれて、結構危ない目にも遭われたそうです。「鉄道研究会の顧問もなされては?」との問いに
は、「とても彼らにはかなわないよ。」と謙遜(?)なのか仰り、また「彼らとは目指す方向が違う。」とも固辞されていました。
先生から改まって伺ったという訳ではないのですが先生の持論は、医者は患者の肉体的な病気を治療するが、弁護士は依頼人の社会的病気を治療するようなもの
だ、ということです。クレジット・サラ金の依頼人など特にそうで、自らも自堕落な生活をして、借りたものは返すという社会的義務を果たさないことに何の罪
悪もないような人が中にはいるわけです。そういう人たちをただ弁護するだけでなく、生活を立て直してあげてちゃんとやっていけるよう、時には依頼人を叱っ
たりしながら、方向付けてやるのも仕事のうちといいます。そういった意味で、赤ひげ先生のような地域に根ざした町医者のような弁護士を、先生は目指してい
るように私は感じました。ですから地方にはまだまだ弁護士が不足している地域がA「無医村」のようなものと、憂えていらっしゃいました。また、「訴訟沙汰
だけはなんとかご勘弁を・・」というように、弁護士に対する一般の人たちの理解がまだまだ薄いことにも、弁護士の努力不足として問題と感じていらっしゃる
ようです。
また先生は、弁護士のこれから果たすべき社会的役割にも目を向けておられます。それは、これまでの官僚主導型行政のあり方がいろいろ非難されるようにな
り、それに変わるものとして市民のパワーが力を発揮するには、弁護士の力が欠かせないというのです。官僚が決めたことを市民オンブズマンがチェックする時、弁護士が法律の専門家として加わったり、官僚がお上の論理で作成した法律案に対しても、民の論理で弁護士がそれに替わる対案を作成して提出するブレー
ンの役割を担ったり、ということです。つまり官僚に対抗しうる頭脳集団として、市民の味方として、弁護士を捉えるのです。そのような考えから、原子力空母
の配備問題にも取り組んでいらっしゃるようです。
上述のように新しい考えをお持ちで、気さくな呉東先生に会って話をしてみるのを皆さんにおすすめします。必ず何か考えさせらるところがあると思います